今日から魔王はじめます!
始祖の時代から生きる、唯一の魔物、か。


私は不死鳥が去っていった蒼穹の彼方を、じっと見つめた。


初代魔王陛下の一の使い魔だった不死鳥は、始祖の時代の全てを見たことになる。


何百年、独りで生きてきて、


あのコは、何を思ってたのだろう。



『争いは醜いだけだというのに』


『今の影夜国を思えば嘆かわしい』



その言葉が、ぐるぐると頭の中を回り続けた。


今の…ってことは、昔の、つまり始祖の時代は素晴らしかったと不死鳥は言いたいのだろうか?



____わからない。



頭を使うのは、勉強と剣道の戦法だけで、美咲先輩みたいに“賢く”なんてない私じゃ。


マヌケでトロくて新前魔王である私じゃ。



「陛下」



ランスさんが呟く。


私は俯くと、小さな声で「部屋に戻ります」と言った。
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