東方想雨天
霊夢と禍霊夢
--- 雲海上空 ---
魔理沙と早苗は雨雲を越え、雲海上空へと出た。するとそこに一人の見慣れた女性の姿があった。
「黒い……霊夢?」
「霊夢さん?」
「…………」
禍霊夢は、無言で二重弾幕結界を張り、2人にけしかけた。
「なっ……!?」
「魔理沙さん!」
2人はなんとか避け切って、態勢を整えた。
「どういうことだ……?霊夢じゃないのか?」
「ですが、魔理沙さん……。あの弾幕結界は、霊夢さんと同じです……」
2人は戸惑っていた。霊夢に似ているが、所々違う部分がある。だが、スペカは全く同じものだからだ。魔理沙はまだ状況が飲み込めていないが、このまま避けてばかりでは意味がない。何か突破口があると信じ、早苗に攻撃態勢に入るよう伝えた。早苗もそれに応じ、攻撃態勢に入ろうとした。すると、目の前に禍霊夢が既に迫ってきて、封魔陣を打ち込まれ、身動きが取れなくなった。
「くぅっ!?ま、魔理沙、さん、!」
「早苗!!くそっ!」
魔理沙は慌てて八卦炉を構えて禍霊夢がいた方向に向けた。が、そこに禍霊夢の姿はなく、どこに消えたか辺りを見回した。
「くっ……!どこに消えた!?」
「ここよ」
「……!?」
魔理沙のすぐ右隣で、鬼針を構えて不敵の笑みを浮かべていた。魔理沙は咄嗟に下がり、間を取った。
「ふふふ……」
「お前……霊夢をどうした」
「あら、私を霊夢でないと?」
「そうだ!霊夢にしては粗い戦法だ。あいつはもっと計算をして攻略するやつだ」
「そう……そうね。確かにそうだわ。では、自己紹介でもしようかしら」
禍霊夢は鬼針を捨て、立ち尽くした。
「私は、禍霊夢。霊夢の闇を具現化し、霊夢の精神と身体を依り代として憑依した影だ」
「霊夢の……影……」
「そんな……霊夢さん……に…も……」
「貴方達は知らなかったようだけど、かなりの闇を抱えているのよ?彼女」
魔理沙は俯き、小刻みに震えた。早苗も封魔陣が解け、自由になったがあまりの事態に行動を起こすことが出来なかった。禍霊夢は笑い、絶望を刻ませようと2人に言い聞かせた。
「貴方達のいない間、彼女は独り。ただ独りの神社で過ごしていたわ。参拝者も一切来ない。八雲紫からも捨てられて、他の妖精、妖怪も全く来ることは無い。彼女はずっと独りだったわ。唯一、異変が起きた時だけ、そこの黒白の魔法使いは来たようだけど…。それって、頼っているというより、面倒を押しつけてるだけよね?彼女自身、本当は行きたくないって、心の底から思ってたわ。それでも、異変解決は博麗の巫女の仕事だからと動いてはいたわ。でも、それはその運命にあるというだけ。本人の意志ではない。貴方達という存在を心から邪魔だって、よく言っていたわ」
「…………」
「……霊夢さん……」
魔理沙は怒りに奮えていた。禍霊夢にではなく、自分に。自分ではそう思ってなくても、霊夢にはそう伝わっていたことを。自分のしてきたことは余計なことばかりだったのか。そんな考えばかりを巡り、絶望していった。
早苗もまた、同じような思考を巡らせていた。異変解決の際は、霊夢に色々聞いたりして、途中取りしたりして迷惑ばかりをかけていた。それもまた、邪魔だったのか。そんな2人を眺める禍霊夢はある提案をけしかけた。
「まぁ、2人とも邪魔だからさ。死んでよ」
「………!?」
「………!?」
「だって、そうでしょ?2人のせいで霊夢は死んだのよ?なら、貴方達も死んで詫びるのが筋じゃないかな?」
魔理沙も早苗も脱力して何も出来なくなっていた。自分達のせいで霊夢は禍霊夢となった。自分達がいたから。
禍霊夢は2人の絶望しきった姿を見て、符を取り出し構えた。
「安心して。一撃で殺してあげるわ。絶符……『グランデススパーク』!!」
ドス黒く全てを飲み込む闇の柱が2人に襲いかかった。禍霊夢は高らかに笑い、2人が消し飛ぶのを観察していた。すると、闇の中から1本の光が禍霊夢目掛けて近付き、直撃した。有り得ないことに戸惑いが隠せない禍霊夢の眼前には、無傷の2人がこちらを睨みつけていた。
「バカな……。私の言った事実を伝えたってのに、それでも抗うと?」
「あたしは、霊夢のことは分かっていたつもりだった。だけど、あいつはいつも本心を隠していたから上辺だけで相手をしていたんだと思う。けど、本心を知った今!これで改められる……!これからも、ずっと……異変解決のパートナーでありたいからな……!」
「私も、霊夢さんには沢山の迷惑をかけました。私も異変解決に関与してから霊夢さんの出る幕も減ってやる気を削がれていましたから。なので、今までのこと謝って一人前と認められるよう努力します!」
「…………」
2人の決意表明に禍霊夢は、意表を突かれた。バカばっかりだ。そんな決意を固めたからって、この私に適う訳ないのに。
禍霊夢の額に血管が浮かび上がり、全力解放した。
「そこまで決意を固めたからには分かってんだろうね?私を倒さないと彼女は帰ってこない。仮に倒せたとして、試練はずっと続く。貴方達に得は一切無いわ。それでいいのね?」
魔理沙は八卦炉を構え、早苗は祓い棒と符を取り出した。
「問題ない。あたし達の絆は絶対切れないんだ。だから、絶対お前を倒して霊夢を取り戻す!」
「私も同じです!先のことは大変でも、尊敬する霊夢さんのいない幻想郷なんて嫌です!必ず貴方を倒し、霊夢さんを救出します!」
「そ……。なら……死ぬ気で来なさいよねぇ!!?」
魔理沙と早苗は雨雲を越え、雲海上空へと出た。するとそこに一人の見慣れた女性の姿があった。
「黒い……霊夢?」
「霊夢さん?」
「…………」
禍霊夢は、無言で二重弾幕結界を張り、2人にけしかけた。
「なっ……!?」
「魔理沙さん!」
2人はなんとか避け切って、態勢を整えた。
「どういうことだ……?霊夢じゃないのか?」
「ですが、魔理沙さん……。あの弾幕結界は、霊夢さんと同じです……」
2人は戸惑っていた。霊夢に似ているが、所々違う部分がある。だが、スペカは全く同じものだからだ。魔理沙はまだ状況が飲み込めていないが、このまま避けてばかりでは意味がない。何か突破口があると信じ、早苗に攻撃態勢に入るよう伝えた。早苗もそれに応じ、攻撃態勢に入ろうとした。すると、目の前に禍霊夢が既に迫ってきて、封魔陣を打ち込まれ、身動きが取れなくなった。
「くぅっ!?ま、魔理沙、さん、!」
「早苗!!くそっ!」
魔理沙は慌てて八卦炉を構えて禍霊夢がいた方向に向けた。が、そこに禍霊夢の姿はなく、どこに消えたか辺りを見回した。
「くっ……!どこに消えた!?」
「ここよ」
「……!?」
魔理沙のすぐ右隣で、鬼針を構えて不敵の笑みを浮かべていた。魔理沙は咄嗟に下がり、間を取った。
「ふふふ……」
「お前……霊夢をどうした」
「あら、私を霊夢でないと?」
「そうだ!霊夢にしては粗い戦法だ。あいつはもっと計算をして攻略するやつだ」
「そう……そうね。確かにそうだわ。では、自己紹介でもしようかしら」
禍霊夢は鬼針を捨て、立ち尽くした。
「私は、禍霊夢。霊夢の闇を具現化し、霊夢の精神と身体を依り代として憑依した影だ」
「霊夢の……影……」
「そんな……霊夢さん……に…も……」
「貴方達は知らなかったようだけど、かなりの闇を抱えているのよ?彼女」
魔理沙は俯き、小刻みに震えた。早苗も封魔陣が解け、自由になったがあまりの事態に行動を起こすことが出来なかった。禍霊夢は笑い、絶望を刻ませようと2人に言い聞かせた。
「貴方達のいない間、彼女は独り。ただ独りの神社で過ごしていたわ。参拝者も一切来ない。八雲紫からも捨てられて、他の妖精、妖怪も全く来ることは無い。彼女はずっと独りだったわ。唯一、異変が起きた時だけ、そこの黒白の魔法使いは来たようだけど…。それって、頼っているというより、面倒を押しつけてるだけよね?彼女自身、本当は行きたくないって、心の底から思ってたわ。それでも、異変解決は博麗の巫女の仕事だからと動いてはいたわ。でも、それはその運命にあるというだけ。本人の意志ではない。貴方達という存在を心から邪魔だって、よく言っていたわ」
「…………」
「……霊夢さん……」
魔理沙は怒りに奮えていた。禍霊夢にではなく、自分に。自分ではそう思ってなくても、霊夢にはそう伝わっていたことを。自分のしてきたことは余計なことばかりだったのか。そんな考えばかりを巡り、絶望していった。
早苗もまた、同じような思考を巡らせていた。異変解決の際は、霊夢に色々聞いたりして、途中取りしたりして迷惑ばかりをかけていた。それもまた、邪魔だったのか。そんな2人を眺める禍霊夢はある提案をけしかけた。
「まぁ、2人とも邪魔だからさ。死んでよ」
「………!?」
「………!?」
「だって、そうでしょ?2人のせいで霊夢は死んだのよ?なら、貴方達も死んで詫びるのが筋じゃないかな?」
魔理沙も早苗も脱力して何も出来なくなっていた。自分達のせいで霊夢は禍霊夢となった。自分達がいたから。
禍霊夢は2人の絶望しきった姿を見て、符を取り出し構えた。
「安心して。一撃で殺してあげるわ。絶符……『グランデススパーク』!!」
ドス黒く全てを飲み込む闇の柱が2人に襲いかかった。禍霊夢は高らかに笑い、2人が消し飛ぶのを観察していた。すると、闇の中から1本の光が禍霊夢目掛けて近付き、直撃した。有り得ないことに戸惑いが隠せない禍霊夢の眼前には、無傷の2人がこちらを睨みつけていた。
「バカな……。私の言った事実を伝えたってのに、それでも抗うと?」
「あたしは、霊夢のことは分かっていたつもりだった。だけど、あいつはいつも本心を隠していたから上辺だけで相手をしていたんだと思う。けど、本心を知った今!これで改められる……!これからも、ずっと……異変解決のパートナーでありたいからな……!」
「私も、霊夢さんには沢山の迷惑をかけました。私も異変解決に関与してから霊夢さんの出る幕も減ってやる気を削がれていましたから。なので、今までのこと謝って一人前と認められるよう努力します!」
「…………」
2人の決意表明に禍霊夢は、意表を突かれた。バカばっかりだ。そんな決意を固めたからって、この私に適う訳ないのに。
禍霊夢の額に血管が浮かび上がり、全力解放した。
「そこまで決意を固めたからには分かってんだろうね?私を倒さないと彼女は帰ってこない。仮に倒せたとして、試練はずっと続く。貴方達に得は一切無いわ。それでいいのね?」
魔理沙は八卦炉を構え、早苗は祓い棒と符を取り出した。
「問題ない。あたし達の絆は絶対切れないんだ。だから、絶対お前を倒して霊夢を取り戻す!」
「私も同じです!先のことは大変でも、尊敬する霊夢さんのいない幻想郷なんて嫌です!必ず貴方を倒し、霊夢さんを救出します!」
「そ……。なら……死ぬ気で来なさいよねぇ!!?」