東方想雨天
「ミヅハノメノカミ…。とても大昔、大地に潤いを与える神として、その人は生まれたわ。彼は、渇いた大地、萎れた草木、荒れ果てた街を彼の能力で潤い、活性化させた。…が、それはすぐに起きた。人間は、異能を我が物にしようと戦乱を始め、彼によって潤いをもたらした地は再び荒れ果て、彼に絶望を与えた。彼は、その戦乱を抑えようと、その大地に洪水や嵐を起こし、没した。その後、この異能は人々を醜く争わせる異物であると判断した彼は、自ら命を経った。それ以降の言い伝えでは、堕ちた神として、信仰されることなく朽ち果てていった」
「ま、待って…」
雨那は、少し違和感に気付いた。というより、違和感しかない。ミヅハノメノカミは、実際にいたのはわかるし、あの時、魂が放浪していたのはわかる。だが、なぜ私を選んだのか。それだけが分からない。
「その話に信憑性があるかは分からない。だけど、なぜ私を選んだの?私との関係性は何?」
青蛾は、軽く俯いてミヅハノメノカミの像を見た。
「あなたの遠い祖先が、実は彼なの。彼が教えてくれたわ」
「……………え……………?」
(何を言ってるの?え?私が?こんな異形の末裔?え、じゃあ、私とこれは最初から繋がっているの?嘘でしょ?そんな上手い話なんてあるわけない……全部、全部嘘よ!)
混乱する雨那を横目に、青蛾は更に追い打ちをかけるように一言言った。
「あなたのあちらの世界での人生は、とてもミヅハノメノカミと同じ人生よね。それを察知した彼は、あなたをあの寺院に呼び、あなたの中に惹かれていった。そして、今のあなたがいる。これが今までの顛末。そして、彼の欲求は、今まで溜まっていた憎悪の解放よ。あなたには彼と同じ憎悪がある。一緒に解放して楽になろうってことよ」
雨那は、今までにないくらいの声で叫んだ。自分がそのために生まれてきた。そして、そう仕向けられたかのように人生を進み、今に至っている。もう、何もかも変えられない。そんな感情が吐き出された。
青蛾の目は、とてもにやついていた。これで、計画は進行する。あの巫女を倒せる。そんな邪念のみが渦巻いていた。
「私……決めた」
ふと、雨那から小声ながらもはっきりと聞こえた。
「私…この計画に乗ったわ」
「あら…あなたなら、賛同しないと思ったのだけど……」
雨那の手は、汗滲み、身体はとても震えていた。声も、恐怖で震えていながらも自分の想いを青蛾に伝えた。
「私の人生も…確かに酷かった。彼程ではないにしろ…確かに同じだったわ。それに、今まで溜まっていた憎悪も知らず知らずの内に、吐き出さずにはいられなかったのかも。今がその機会なら、遠慮なくやらせてもらうわ」
それを聞いてホッとした青蛾は、雨那の手を取り、ミヅハノメノカミの像の下にいる彼女の元へと連れて行った。
「紹介するわ。人と妖怪の共存を望む住職、聖白蓮よ。彼女は、この計画において、あなたの練度向上を図る為に呼んだわ」
今まで後ろを向いて座禅を組んでいた女性が、ゆっくりと立ち上がり、2人の方へと振り向いた。紫と金の髪に、黒白のワンピースドレスでどこか威厳を保ちつつ、とても優しいお母さんの様な風潮が出ていた。
「初めまして。聖白蓮(ひじり びゃくれん)と言います。あなたの練度向上を指導・補佐を担当させて頂きます。これからよろしくお願いしますね」
聖は、深々と頭を下げ、雨那の方をゆっくりと眺めた。
「ま、待って…」
雨那は、少し違和感に気付いた。というより、違和感しかない。ミヅハノメノカミは、実際にいたのはわかるし、あの時、魂が放浪していたのはわかる。だが、なぜ私を選んだのか。それだけが分からない。
「その話に信憑性があるかは分からない。だけど、なぜ私を選んだの?私との関係性は何?」
青蛾は、軽く俯いてミヅハノメノカミの像を見た。
「あなたの遠い祖先が、実は彼なの。彼が教えてくれたわ」
「……………え……………?」
(何を言ってるの?え?私が?こんな異形の末裔?え、じゃあ、私とこれは最初から繋がっているの?嘘でしょ?そんな上手い話なんてあるわけない……全部、全部嘘よ!)
混乱する雨那を横目に、青蛾は更に追い打ちをかけるように一言言った。
「あなたのあちらの世界での人生は、とてもミヅハノメノカミと同じ人生よね。それを察知した彼は、あなたをあの寺院に呼び、あなたの中に惹かれていった。そして、今のあなたがいる。これが今までの顛末。そして、彼の欲求は、今まで溜まっていた憎悪の解放よ。あなたには彼と同じ憎悪がある。一緒に解放して楽になろうってことよ」
雨那は、今までにないくらいの声で叫んだ。自分がそのために生まれてきた。そして、そう仕向けられたかのように人生を進み、今に至っている。もう、何もかも変えられない。そんな感情が吐き出された。
青蛾の目は、とてもにやついていた。これで、計画は進行する。あの巫女を倒せる。そんな邪念のみが渦巻いていた。
「私……決めた」
ふと、雨那から小声ながらもはっきりと聞こえた。
「私…この計画に乗ったわ」
「あら…あなたなら、賛同しないと思ったのだけど……」
雨那の手は、汗滲み、身体はとても震えていた。声も、恐怖で震えていながらも自分の想いを青蛾に伝えた。
「私の人生も…確かに酷かった。彼程ではないにしろ…確かに同じだったわ。それに、今まで溜まっていた憎悪も知らず知らずの内に、吐き出さずにはいられなかったのかも。今がその機会なら、遠慮なくやらせてもらうわ」
それを聞いてホッとした青蛾は、雨那の手を取り、ミヅハノメノカミの像の下にいる彼女の元へと連れて行った。
「紹介するわ。人と妖怪の共存を望む住職、聖白蓮よ。彼女は、この計画において、あなたの練度向上を図る為に呼んだわ」
今まで後ろを向いて座禅を組んでいた女性が、ゆっくりと立ち上がり、2人の方へと振り向いた。紫と金の髪に、黒白のワンピースドレスでどこか威厳を保ちつつ、とても優しいお母さんの様な風潮が出ていた。
「初めまして。聖白蓮(ひじり びゃくれん)と言います。あなたの練度向上を指導・補佐を担当させて頂きます。これからよろしくお願いしますね」
聖は、深々と頭を下げ、雨那の方をゆっくりと眺めた。