妄想オフィス・ラブ ~キスから始まるエトセトラ~
「……っ、あんな飲み方して駄目ですね。ふらふらして、引き込まれそうになるとか有り得ません。隙がありすぎるんです、もう少し危機感を持ってください」
「は、はい?」
「本当に分かってます?なんで疑問系?」
「えっ?えへへへ。影山君いっぱい喋ってくれるなぁって思って。楽しいね」
込み上げる笑いににやにやしてしまう。
なんか心配してくれている影山君も新鮮で嬉しくなってきた。
「………っ、」
「えへへへー。私の初めてが影山君で良かったぁ」
「ブッ、、、、ケホケホケホッッ」
ふにゃりと笑いながら影山君を見上げてそう言うと、突然噎せ出した。
口許を片手で覆って苦しそうだ。
「だ、大丈夫?お茶、飲んで飲んで」
「……っ、守屋さん……何言って……」
「いや、だってさ、私が影山君の指導係したからこんなに話せるようになったんだしさ。指導係してなかったら、他の子みたいに遠巻きで見てる1人だったんだろうなぁって思って。影山君が、指導係したの初めてだったんだよ。ほら、お茶、飲みなって」
「あ……あぁ。……でもこれ守屋さんに」
「でも、買ってくれたの影山君だし?飲んで、飲んで、後から一口頂戴?」
「………っ、まだ酔っぱらってます?」
「えーーーそんな事ないよー」
うふふふふ。
ニコニコしながらお茶を薦める。
「………っ、だからっ」
そう言って、今まで立っていた影山君が、私の隣に座って、横に荷物を置いた。
手に持っていたお茶のペットボトルを開けて、グイっと飲むのを見つめる。
ふいにチラリと影山君の視線が私を捉えて、肩を抱き寄せられた。
突然の事で何が起こったか分からず、気づいたら影山君とキスをしていた。
無意識のまま口を開けて、影山君からお茶が流れてきた。
コクりと喉を流れるお茶に喉が乾いていたことを思い出す。