妄想オフィス・ラブ ~キスから始まるエトセトラ~


「じゃあ次は分かるか?」


次!?次って何よ!


「わ…分かりません…」


壁ドンしている左手を肘まで壁につけて更に距離が縮まる。

うわッうわッ、何?、何?
壁ドンって、怖い!
相手が三嶋課長だから更に怖い。


「タマ、壁ドンときたら、顎クイだ」


ピシッと固まりまくって、呼吸もままならない私の顎に三嶋課長の右手が触れる。
ひょいと持ち上げて、ふっと笑いが漏れたと同時に端正な三嶋課長の顔が近づいてきた。


私の唇に触れる別の温もり。
それが、三嶋課長のものだと気づくのに数秒かかってしまった。

触れては離れ、軽いバードキスを何度もされ、最後はチュッとリップ音を鳴らして離れていった。


「…………んっ、、」


「へぇ。結構良い声じゃねぇか」


「はっ?」


「壁ドンからの、顎クイで、もう終わりか?そのまま押し倒しても流れ的にはオッケーなのか?あぁ、床ドンって言うんだったか」


再び唇がくっつきそうな距離のまま、なぜかとても恐ろしいことを淡々と話す三嶋課長。
いーーーーやーーーーだーーーー!

その一見冷たそうに見える切れ長の目に、鼻筋のとおった形の良い鼻、薄い唇、180センチはありそうな身長に、がっちりと鍛えられていそうな体躯。
長めの髪はしっかり後ろに整えられていて、うちの部署だけでなく、社内ナンバーワンと言われる35歳、独身。




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