妄想オフィス・ラブ ~キスから始まるエトセトラ~
「あぁそうさせて貰う」
まだ先の話のはずなのに、環は今から着ていく服を楽しそうに選んでいた。
手持ちのドレスを試着して、嬉しそうにしている姿に、全身俺が選んで着飾らせたい願望が膨らむ。と、同時に他の奴らに見せたくない嫉妬さえ。
なんとかして、くっついていこうと思っていたところだ。招待があって助かった、と一息つく。
「………高宮さん、すみません僕も行かせて貰っても大丈夫ですか?」
そう言う影山に、きっと考えていることは同じだなと、三嶋は笑った。
高宮としては、もっと早く結婚したかったと思っていた。
しかし柴崎の方が、仕事が面白く一級建築士の資格の勉強中で、これが終わってからと頑なに拒否してきたのだ。
ならば、せめて一緒に住もうと持ちかけても、勉強出来ないと振られ続けてきた。週末ごとにお互いの家を泊まり歩いてきたが、そろそろ限界だった。
そこに愛がないわけでもない。
彼女の姿勢を否定しているわけでもない。
ここにあるのはただの独占欲だ。
願わくば、誰の目にも触れず閉じ込めてしまいたい。
自分の狂気めいた思いに辟易した。
だから、今年無事に資格が取れて次の段階に進めた今本当にホッとした。
大概だな俺も。