妄想オフィス・ラブ ~キスから始まるエトセトラ~
薄暗い資料室の入り口を塞ぐように持たれて立ち、腕を組ながら私を見下ろすこの男は、半年前まで付き合っていた元カレだ。
別れた理由は、彼への不信感。
二股をかけられたとか、現場をみたとかそんな生々しい事ではなかったし、
『浮気なんてしてないって!』
なんて彼は言い続けてたけどね。
そんな事じゃないんだ。
「えっと?ドッキリか何かでしょうか?」
「ドッキリでもないし、冗談でもない」
「振られたのは私だったと思いますが?」
「言い出したのは俺じゃない」
「何それ……とりあえず、会社で話すことでは無いですし、答えはノーです。では、失礼します。お疲れさまでした」
そう言って、通り抜けようとしたら腰を捕まれて引き寄せられた。
「ちょっっっ、、、」
陽太の両腕が私の腰に巻き付き、後ろから抱き締められるような形になった。