妄想オフィス・ラブ ~キスから始まるエトセトラ~
1つ上の先輩にあたるこの男、佐々木陽太(ささき ひなた)は、戸建営業をしている。
設計でCADを担当している私、南崎桃子(みなみざき とうこ)とは図面の変更等でたまに話すことはあったが、それだけだった。
たまたま残業していたときに、私の名前をとうこではなく、ももこと呼び間違えてた。
その日は陽太のお客様の急なご要望で、明日の朝一で持っていく図面を2ヶ所書き直してほしいと言われ、陽太と一緒に残業をしているときだった。
「あのさ、気になってたんだけど名前桃子(ももこ)って書くじゃん?春生まれなの?」
気になることか?
軽く疑問に思いながらも特に問い詰めることもなく答える。
「いえ。春生まれは春生まれなんですけど、それ桃子(とうこ)って読むんです」
「えっ!?そうなの?桃子(とうこ)って読むんだ、、、桃子の誕生日は?やっぱり3月?」
呼び捨て…………
まぁ他意はないか、、、
「そ、、そうですね。そこは当たりです」
当たり障りのないただの日常会話だったけれど、その日からプライベートな事も少しづつ話すようになって、2ヶ月位たった頃陽太から告白された。
色々話すようになって、私も彼を意識し出した頃だったから素直に嬉しかった。
付き合い始めた1年くらいは良かった。
彼は楽しくて優しくて、すぐにのめり込んだのは私の方だ。