妄想オフィス・ラブ ~キスから始まるエトセトラ~

「いやッ、、離してよ!」


「嫌だね。お前逃げるじゃん。仕事以外は完璧に俺の事避けまくるし、携帯もいつの間にか変えて、引っ越しまでして……離したら話せないだろ?」


「私はっっ話すこともないし、連絡を取る必要ももうないっっっ!」


「お前は無くても俺はあるんだよっ」


「今更っ!!あの時私は散々話したっ!!」


陽太の腕の中で身をよじるように体を動かす。資料を片手で抱えていながらだから上手く動けない。

陽太の腕に力が入り動かす事も出来なくなった。


「離してっっちょっと、痛いってば!」


ピクリと陽太の体が揺れて、腕の力が緩まる。

ヨシッ!

その瞬間を狙って逃げ出そうと足に力をいれた時、腰に回っていた陽太の腕が私の左手首を掴んでクルッと反転させた。

へっ??

それは、あっという間の出来事で、体に力を入れてた分バランスが取れず気付けば資料の棚に体を押し付けられていて、右手に持っていた図面の入ったファイルもバサリと床に落ちていた。

慌ててファイルを拾おうと思って屈もうとするも、左手を押さえつけられていて、空を切った私の右手も陽太の手に捕まれた。










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