蝶々、とまって。
ーーどうして。
口を開こうとした瞬間、鳴った授業終了のチャイム。
「時間切れだね」
なんでこのタイミングで鳴るの。
やっと勇気を出したのに。
「じゃあ、俺はもうちょっとここにいるから」
1時間だけねって、言ったのは私だ。
彼はそれを守ってるだけ。
それなのにあまりに簡単に手放されたみたいで、寂しくなるなんて。
「前園先輩も、いい加減授業出たほうがいいですよ」
はは、なんて笑って誤魔化す彼は、きっと次の授業にも出ないつもりだろう。