蝶々、とまって。
校舎に入って、教室に向かう途中の廊下。
ふと窓から中庭をのぞけば、そこにはさっきと同じように笑う彼とー……女の子。
ふわりとした髪の彼女は、なんとなく前園先輩と雰囲気が似ていて。
きゅっ、と締め付けた胸。
駆け足で教室に向かった。
……わかってる、私は特別じゃない。
それなのにふたりでいる時だけは、特別だって勘違いしてしまいそうになる。
「苦しい…」
溢れそうになる涙を必死に堪えたら、どこからか迷い込んだ蝶が目の前をひらりと舞った。