ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~
 噴き上げる感情のまま、幼い子供のように大きな口を開けて、あたしはわぁわぁと泣き続ける。

「うわあぁ……! うっ……うぅ……」

「これ叶、男の子がそんな、泣かねぇの」

「うぇぇ……うっく! うぅ……」

「大丈夫、大丈夫。ばあちゃんがついてっから、大丈夫だから」

 保護メガネをかなぐり捨てるように外して、声をあげて泣きじゃくるあたしを、ばあちゃんは慰めてくれる。

 ……たぶん、ばあちゃんは……叶さんがもうこの世にいないことも、わからないのだろう。

 それでもばあちゃん、わかってくれた。ぜんぶわかってくれたんだ。

 ばあちゃん、ばあちゃん、ごめんなさい。

 あなたがこよなく愛して、守り続けた孫は、あなたを置いて逝ってしまいました。

 それでもあたしは、受け継ぎました。

 この左目に宿っているんです。

 あなたが愛した存在がこの世界に生きた証を、あたしはたしかに受け継ぎました。

 さあ、どうか見てください。

 あなたのその目で、受け継いだ証を見てください。

 叶さんからの最後の言葉を、あたしからあなたに届けさせてください。

「大好きだよ、ばあちゃん。大好きだよ」

「うんうん、ばあちゃんも叶が大好きだべ」

「大好きだよ。大好き。大好き。大好き……」

 涙と一緒に繰り返される言葉を聞きながら、満足そうなばあちゃんの瞼が、開いたときと同じようにゆっくり閉じていく。

 そして夢の世界に引き込まれるように、また静かに眠ってしまった。
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