ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~
閉じられた蓋
桜の木の根元でうずくまって頭を抱えていたあたしは、なんとか自分を鼓舞して立ち上がり、フラフラと生徒玄関へ向かって歩き出した。
いつまでもこうしてはいられない。とりあえず授業に顔を出ないと。
玄関のロッカーで靴を履き替え、誰もいない廊下を進んだ先の階段を四階まで上がった。
すぐ右手にあるドアの前に立ち、あたしは気持ちを静めるように深呼吸をしてから取っ手に手をかけた。
慎重に引き戸を開けたけれどガタガタと軋んだ音が大きく鳴って、クラス中の視線がバッとこっちに集中する。
黒板に向かって白チョークで書き込んでいた先生も振り返って、話しかけてきた。
「おお、小田川か。ちゃんと病院行ってきたか?」
「はい」
「ん? なんだどうした元気ないな? 大丈夫か?」
「はい。大丈夫です」
先生と受け答えしているあたしを、クラスのみんなが真面目な顔でじっと見つめている。
先生は心配そうな表情で口を開きかけたけれど、病状にかかわることを公衆の面前でしゃべらせるわけにもいかないと思ったのか、なにも言わずに授業を再開した。
いつまでもこうしてはいられない。とりあえず授業に顔を出ないと。
玄関のロッカーで靴を履き替え、誰もいない廊下を進んだ先の階段を四階まで上がった。
すぐ右手にあるドアの前に立ち、あたしは気持ちを静めるように深呼吸をしてから取っ手に手をかけた。
慎重に引き戸を開けたけれどガタガタと軋んだ音が大きく鳴って、クラス中の視線がバッとこっちに集中する。
黒板に向かって白チョークで書き込んでいた先生も振り返って、話しかけてきた。
「おお、小田川か。ちゃんと病院行ってきたか?」
「はい」
「ん? なんだどうした元気ないな? 大丈夫か?」
「はい。大丈夫です」
先生と受け答えしているあたしを、クラスのみんなが真面目な顔でじっと見つめている。
先生は心配そうな表情で口を開きかけたけれど、病状にかかわることを公衆の面前でしゃべらせるわけにもいかないと思ったのか、なにも言わずに授業を再開した。