隣の席の左利きの小川くん
「やっぱり、吉岡さんだったんだ」
「え……?」
「最初は気のせいかなって思った。だけど机を離しても何度も腕がぶつかっちゃうからもしかして、って」
ふ、とどこか安心したように笑みを浮かべ、ゆっくりとこちらへ近づくと、小川くんは自分の席の前で立ち止まり、とんとんと軽く机を叩いた。
まさか、気づかれていたなんて。
恥ずかしくて、なにも言えなくなる。
しかも、なんで、そんな、
そんな優しい顔でわたしを見ているの……?
とくん、とくん、と心臓が高鳴る。
真っ直ぐ小川くんを見たのは初めてだった。
いつも盗み見るようにこっそりと見ていたから。
小川くんはこんなにも穏やかな表情を浮かべる人だったんだ───。
「吉岡さんって、オレのこと好きなの?」
「……っ、」
「……好き、だよね?」
そんな誘導尋問、頷くしかなくなる。
こくん、と頷いたら、まさかの言葉が飛び出して目を見開いた。
「じゃあ付き合おうか。オレも吉岡さんのこと気になってたんだ」
「は、はい……」
【隣の席の左利きの小川くん】
To be continued...?