君の涙を、
皆の盛大な拍手の中、教室に姿を表したのは
一番後ろでもわかる。視力があまり良くない私でもわかる。
綺麗な顔をした、男の子だった。
細身で背が高く、栗色の髪はふわふわとエアコンの風に揺れていた。
「赤城涙伊です。聖森高校から来ました、よろしく」
「ちょっと、イケメンすぎでしょ」
「聖森ってことは、あの人御曹司なの!?」
女子の皆様、声が抑えられないほど興奮しているそうです。
「赤城は久野の隣な」
…え、は?
私は反射的に右隣を見た。
そこには誰もおらず、机すらない、いわば最後尾は私だけ…。
「一番奥のところだ。あとで机運ぶから、ちょっと来てくれな。じゃあ、朝礼終わり!」
ちょっと待ってよセンセイ…
赤城くんが私の隣って決まってからの、女の子たちの目線がすごく怖いんですけど…?