復讐アプリ
私は呼吸もまともにできないくらいに、冷静さを失いながら、
握りしめた金属バッドを神埼祥子の頭に振り下ろした。




ゴン、というにぶい音。




そして、私の手に伝わってくる強い衝撃。




私は自分が犯罪を犯しているという恐怖で、膝をカタカタと震わせながら、神埼祥子の後ろ姿を見ていた。




「うっ!」

そんな低いうめき声を上げて、神埼祥子が膝から崩れ落ち、
殴られた頭を両手で抱えた。




やってしまったという後悔の思いと、
やらなければという差し迫った思いが、
私の頭の中で交錯した。




金属バッドで頭を殴られた神埼祥子は、頭を手で押さえながら、ゆっくりと私の方を振り返った。




そして、困惑した顔の神埼祥子の目と、私の目が合ったとき、
神埼祥子はつんざくような悲鳴を上げた。
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