復讐アプリ
「黒アゲハさんは、復讐のシナリオを書いて、和田恭子に復讐を果したときに、
復讐アプリのヘビーユーザーに認定されたんだ。

黒アゲハさんは、もう戻れないんだよ。

復讐アプリを知らなかったときには」




「ひどい……」




私はそうつぶやいて、タツヤをにらんだ。




「タツヤさんは、それを知ってて、私に復讐のシナリオを書くことを勧めたの?」




「もちろんさ」




「何で?

どうしてなの?

タツヤさんは、私が復讐のシナリオを書いたら、
復讐アプリに苦しめられることを知っていたのに……」




「そんなのは、簡単な理由だよ」




タツヤはそう言って、ニヤリと笑った。




「自分だけが苦しむよりも、他の人も巻き添えにした方が気が楽だろ。

黒アゲハさんが、復讐アプリの呪いに苦しんでる。

ああ、苦しいのは、オレだけじゃないんだって」




私はタツヤに騙されたと思った。




見ず知らずの他人が、私の代わりに私が憎んでいる相手に復讐してくれるなんて、
今考えれば、やっぱりおかしい。




私は、初めからそのことに気づくべきだったんだ。




だけど、今さら後悔しても、もう遅い。




私は復讐アプリと無縁だったときには、戻れないから……。
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