イジワル副社長に拾われました。
「次が決まるツナギでいいから、考えてみないか?」
白井さんがそう言ったのと同時に。
「あら航。いらっしゃい」
ストレートの髪をひとつに束ねた女性が部屋から出てきた。
「お疲れ」
「お疲れ様」
軽く右手を挙げて挨拶をした後、彼女は私を見つめる。
「忙しい忙しいって言ってるお前の為に、連れて来てやったぞ」
「桐原琴乃です。はじめまして」
ポン、と白井さんに背中を押され、一歩前に出た私は頭を下げる。
「初めまして。大西未来(おおにし みく)です」
そう言ってふわりと微笑むその姿は、凛としていて。
同じ女性ながらも、惚れ惚れとしてしまう。
「悪い、未来。ただ、アシスタントって言ってもコイツ、美容業界未経験なんだ」
「あら、そうなの?」
「仕事もオトコもなくして路頭に迷ってたから、拾った」
「ちょっと、白井さんっ!」
「俺は事実を述べたまでだが?」
「確かにそうです。そうですけど、少しはオブラートに包んでくれてもいいじゃないですか……」
落ち込む私を見て、大西さんがケラケラと笑いだす。
「諦めなさい、桐原さん。航にそれを望んでも無駄よ」
ポンポン、となぐさめるように大西さんの手が私の肩を叩く。
「見た感じ、おしゃれなんかまったくしませんって子じゃなさそうだし。メイクは……ちょっと崩れているけどしてるわね」
泣きはらした後、メイク直しなんてしていなかったのを今更後悔しても遅い。
恥ずかしくなって俯いていると、上から優しい声が降ってきた。
「今日の仕事が終わったら、崩れている理由も含め色々と話しましょ。今日からよろしくね、桐原さん」
「は、はい。よろしくお願いします!」
「じゃ、早速。こっちにきてくれる?」
大西さんに連れられてきたのは、大きな鏡がある部屋。
鏡の前にはすでに、たくさんのメイク道具や商品が並んでいる。
中には私が愛用しているモノもいくつかあって、ちょっとワクワクしてくる。
「あれ? これ、見たことないなあ」
白井さんがそう言ったのと同時に。
「あら航。いらっしゃい」
ストレートの髪をひとつに束ねた女性が部屋から出てきた。
「お疲れ」
「お疲れ様」
軽く右手を挙げて挨拶をした後、彼女は私を見つめる。
「忙しい忙しいって言ってるお前の為に、連れて来てやったぞ」
「桐原琴乃です。はじめまして」
ポン、と白井さんに背中を押され、一歩前に出た私は頭を下げる。
「初めまして。大西未来(おおにし みく)です」
そう言ってふわりと微笑むその姿は、凛としていて。
同じ女性ながらも、惚れ惚れとしてしまう。
「悪い、未来。ただ、アシスタントって言ってもコイツ、美容業界未経験なんだ」
「あら、そうなの?」
「仕事もオトコもなくして路頭に迷ってたから、拾った」
「ちょっと、白井さんっ!」
「俺は事実を述べたまでだが?」
「確かにそうです。そうですけど、少しはオブラートに包んでくれてもいいじゃないですか……」
落ち込む私を見て、大西さんがケラケラと笑いだす。
「諦めなさい、桐原さん。航にそれを望んでも無駄よ」
ポンポン、となぐさめるように大西さんの手が私の肩を叩く。
「見た感じ、おしゃれなんかまったくしませんって子じゃなさそうだし。メイクは……ちょっと崩れているけどしてるわね」
泣きはらした後、メイク直しなんてしていなかったのを今更後悔しても遅い。
恥ずかしくなって俯いていると、上から優しい声が降ってきた。
「今日の仕事が終わったら、崩れている理由も含め色々と話しましょ。今日からよろしくね、桐原さん」
「は、はい。よろしくお願いします!」
「じゃ、早速。こっちにきてくれる?」
大西さんに連れられてきたのは、大きな鏡がある部屋。
鏡の前にはすでに、たくさんのメイク道具や商品が並んでいる。
中には私が愛用しているモノもいくつかあって、ちょっとワクワクしてくる。
「あれ? これ、見たことないなあ」