イジワル副社長に拾われました。
こんな状態になっても、それでも違うって思えるほど、私も鈍感じゃない。
気づきたくなかった自分の気持ち。白井さんのことが好きだって思いを、私はこれからどう処理していけばいいんだろう。
あふれる涙を止めることもできないまま座り込んでいると、外からの声がこっちに向いて近づいてきていることに気がついた。
「ちょっと待っててね、この荷物だけ入れてくるから」
「ああ」
この声は、未来さんと白井さん……!
私は咄嗟にふたりから死角になるような机の下に身を隠す。
無事に隠れたタイミングでドアが開く音が聞こえた。
「琴乃ちゃんも帰っちゃってるみたい。今日は友達とご飯って言ってたから」
「そうなのか」
「ずいぶんオシャレしてたから、新しい出会いでもあるのかなあって思ってたんだけど。どうなんだろうね?」
「さあな」
白井さんの短い言葉から、感情は見えない。
もちろん、白井さんは私と約束していたことなんて話すこともなく、未来さんとふたりでアーティスト部を後にした。
足音が遠ざかるのを耳を澄まして確認した私は、のそのそと机の下から顔を出す。
しばらくすると、メールの受信を知らせる携帯電話の振動がバッグから聞こえてきた。
『悪い、仕事が長引きそうだから、今日の飯は延期させてくれ』
そこには、あっさりと今日の約束を取り消す白井さんからのメール。
仕方ないか。彼女があんなに泣いていたのに、別の女と食事に行くとかあり得ないもんね。
むしろ、断るという選択をした白井さんが正しいに決まってる。
白井さんが嘘をついたことを気にせずにすむように、私も返信する。
「私も急に、親が実家から出てくるって連絡を今もらったので、ちょうどよかったです……っと。これでいいかな」
はあ、と小さくため息をついて、送信ボタンを押す。
「今日は、家でさみしく飲もっかなぁ~」
メイク直しなんか、おあずけだ。
私は大きくのびをして、会社を後にした。
気づきたくなかった自分の気持ち。白井さんのことが好きだって思いを、私はこれからどう処理していけばいいんだろう。
あふれる涙を止めることもできないまま座り込んでいると、外からの声がこっちに向いて近づいてきていることに気がついた。
「ちょっと待っててね、この荷物だけ入れてくるから」
「ああ」
この声は、未来さんと白井さん……!
私は咄嗟にふたりから死角になるような机の下に身を隠す。
無事に隠れたタイミングでドアが開く音が聞こえた。
「琴乃ちゃんも帰っちゃってるみたい。今日は友達とご飯って言ってたから」
「そうなのか」
「ずいぶんオシャレしてたから、新しい出会いでもあるのかなあって思ってたんだけど。どうなんだろうね?」
「さあな」
白井さんの短い言葉から、感情は見えない。
もちろん、白井さんは私と約束していたことなんて話すこともなく、未来さんとふたりでアーティスト部を後にした。
足音が遠ざかるのを耳を澄まして確認した私は、のそのそと机の下から顔を出す。
しばらくすると、メールの受信を知らせる携帯電話の振動がバッグから聞こえてきた。
『悪い、仕事が長引きそうだから、今日の飯は延期させてくれ』
そこには、あっさりと今日の約束を取り消す白井さんからのメール。
仕方ないか。彼女があんなに泣いていたのに、別の女と食事に行くとかあり得ないもんね。
むしろ、断るという選択をした白井さんが正しいに決まってる。
白井さんが嘘をついたことを気にせずにすむように、私も返信する。
「私も急に、親が実家から出てくるって連絡を今もらったので、ちょうどよかったです……っと。これでいいかな」
はあ、と小さくため息をついて、送信ボタンを押す。
「今日は、家でさみしく飲もっかなぁ~」
メイク直しなんか、おあずけだ。
私は大きくのびをして、会社を後にした。