イジワル副社長に拾われました。
でも、だったらなぜ、優太くんは千絵の告白を断ったの?
「せっかく好きな人から告白されたのに、なんで?」
「将来的に実家に帰ることを理由に振られちゃったのよ」
昔を思い出すように、少し遠い目をしながら千絵が笑う。
「優太くんの実家、地元でも結構老舗の日本料理店でね。そこの女将さんになるってことは大変だっていうのを、自分の母親やおばあさんを見ていて感じてたらしくて。『千絵ちゃんにそんな苦労かけさせるわけにはいかない』って言われたの」
「じゃあ、千絵のことが好きだから、自分があきらめようとしたってわけ?」
「そう。私の気持ちも知らずにね。だけど、一度振られたおかげではっきりわかったの。やっぱり私は、優太くんのことが好き。優太くんと一緒なら、きっとどんな苦労も乗り越えらえるって」
「それでもう一度、告白したの?」
「うん。優太くんについていくために、もう勉強も始めてるって言ったら、しょうがないなって笑って抱きしめてくれたよ」
「そっかあ」
「琴乃にも、きっと見つかるよ。あきらめたくないものや、あきらめたくないこと。それが見つかったら、きっと琴乃だって変われるはずだよ」
「見つかるかなあ」
「なに弱気になってるのよ」
キッ、と千絵ににらまれて、私は肩をすくめる。
「きっと見つかるよ。もしかしたら、もう見つけてるんじゃない?」
アイスコーヒーのストローをくるくると回しながら、意味ありげな顔を浮かべる千絵。
その言葉に白井さんの顔が浮かんで、体の体温が上がるのを感じた。
「やっぱり。今は深く聞かないけど、ちゃんと終わったら報告してよね」
ニッコリと笑った千絵に、私は赤くなった頬を押さえてうなずくだけだった。
千絵と別れて、駅までの道のりをゆっくりと歩く。
好きな人と一緒にいることを選んで、自分にできることを見つけていった千絵。
仕事が大好きで、そんな自分でも受け入れてくれる人と一緒にいる未来さん。
ふたりとも、ちゃんと自分で決めて、しっかりと人生を歩んでいる。
私も、あのふたりみたいに胸を張って歩けるようになりたいな。
そのためにも、自分が今、なにをしたいのか、どうなりたいのか、しっかりと考えなくちゃ。
「……あれ?」
俯いた顔を上げたその先に、私は見知った顔を見かけた。
「白井さん……?」
道路をはさんだ反対側、ジュエリーショップの前に、白井さんが立っていた。
「せっかく好きな人から告白されたのに、なんで?」
「将来的に実家に帰ることを理由に振られちゃったのよ」
昔を思い出すように、少し遠い目をしながら千絵が笑う。
「優太くんの実家、地元でも結構老舗の日本料理店でね。そこの女将さんになるってことは大変だっていうのを、自分の母親やおばあさんを見ていて感じてたらしくて。『千絵ちゃんにそんな苦労かけさせるわけにはいかない』って言われたの」
「じゃあ、千絵のことが好きだから、自分があきらめようとしたってわけ?」
「そう。私の気持ちも知らずにね。だけど、一度振られたおかげではっきりわかったの。やっぱり私は、優太くんのことが好き。優太くんと一緒なら、きっとどんな苦労も乗り越えらえるって」
「それでもう一度、告白したの?」
「うん。優太くんについていくために、もう勉強も始めてるって言ったら、しょうがないなって笑って抱きしめてくれたよ」
「そっかあ」
「琴乃にも、きっと見つかるよ。あきらめたくないものや、あきらめたくないこと。それが見つかったら、きっと琴乃だって変われるはずだよ」
「見つかるかなあ」
「なに弱気になってるのよ」
キッ、と千絵ににらまれて、私は肩をすくめる。
「きっと見つかるよ。もしかしたら、もう見つけてるんじゃない?」
アイスコーヒーのストローをくるくると回しながら、意味ありげな顔を浮かべる千絵。
その言葉に白井さんの顔が浮かんで、体の体温が上がるのを感じた。
「やっぱり。今は深く聞かないけど、ちゃんと終わったら報告してよね」
ニッコリと笑った千絵に、私は赤くなった頬を押さえてうなずくだけだった。
千絵と別れて、駅までの道のりをゆっくりと歩く。
好きな人と一緒にいることを選んで、自分にできることを見つけていった千絵。
仕事が大好きで、そんな自分でも受け入れてくれる人と一緒にいる未来さん。
ふたりとも、ちゃんと自分で決めて、しっかりと人生を歩んでいる。
私も、あのふたりみたいに胸を張って歩けるようになりたいな。
そのためにも、自分が今、なにをしたいのか、どうなりたいのか、しっかりと考えなくちゃ。
「……あれ?」
俯いた顔を上げたその先に、私は見知った顔を見かけた。
「白井さん……?」
道路をはさんだ反対側、ジュエリーショップの前に、白井さんが立っていた。