「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】 

それを受け取りながら、
凄く心がはねてドキドキが止まらなかった。



楽しい買い物の後、病院へと戻った私は翌日、
退院していつもの日常へと戻ることになる。





ただ……怖いだけの世界。
今も……孤立し続ける世界。




その世界が簡単に変わるはずはなかったけど、
ただ一つ、変わったものは(私の心)。



孤独の世界を遮断するように、
いつもデシタルオーディオを持ち歩いてボタンを押せば、
Ansyalの音色が聞こえる。




「君」がいるから……。




大好きな曲を何度も何度も聞いて、
歩き続ける勇気を貰う。



卒業までの残り少ない時間。


中学校に通い続けても、
あの頃と何も変わることはなかったけど……
だけど毎日、心が凍り付くことがなくなった。


前に進めた。



通院日学校を休んで病院に顔を出せば、
そこには楓我さんが優しく出迎えてくれて、
裕先生が暖かく見守ってくれる。




高校受験、卒業式と残り少ない中学生活を歩き続ける。



いつもと同じ日常なのに、いつもと違う感覚の日々がゆっくりと流れて、
季節は静かに映りかわっていった。

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