「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】
22.ファンの情報網
【Ansyal ギタ-リスト Taka急逝】
そのニュースが速報で流れた時、私はリビングに立ち尽くした。
何が起きたのか全く理解できないまま、
私の支えになってた大切な存在がこの世から居なくなってしまった
そんな不安だけが大きく押し寄せてきた。
逃げるように部屋の中に閉じこもって真っ暗な部屋の中、
体を小さく震わせながら俯いて何度も『TAKA』の名を声にならない声で呟く。
*
「里桜奈、美桜、ご飯よー。早く降りて来なさい」
「わかってる。
電話で捕まってたんだ」
そんな声の後、ドアが開く音が聞こえて
美桜の足音が遠ざかって行く。
「里桜奈、お父さんも帰ってきたわよ。
今日はクリスマスイヴなのよ。
家族揃って過ごしましょう。
早く降りてきなさい」
お母さんはそう言うと、階下へと降りて行った。
本当はクリスマスなんて関係ない。
そっとしといて。
そう思うのに、絡みついた呪縛が私を立ち上がらせる。
*
今は私らしくいちゃいけないの。
私は辛くない。
だからちゃんと笑って、リビングに行かなくちゃ。
*
ずっと開いたままになっていたのは、
携帯サイトの速報ニュース。
TVの速報だけだと実感がなかったけど、
この画面の中のニュースでも表示されてる。
だけど今は、悲しいとか寂しいとかなんて今はまだ感じられなくて
ただ不安なだけ。