イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


日菜に命じてから1時間が経ち、取材スタッフたちがやってきた。


俺と暁さん、日菜と総出で迎えると、リーダーの足立さんは店に入ってくるなり笑顔を向けた。




「やぁ久しぶりだね」


「その節はお世話になりました。
あいにく、今日は姉は不在なんですが、よろしくお願いします」




笑うと目じりのしわが下がっていかにも「いい人」そうに見えるけれど、この足立さんは実は毒舌で厳しく、嫌味たらしくもの言う癖がある。

姉貴も実はこの人のことを苦手としていてるから、取材を避けたのかもしれない。

まぁ今となってはどうでもいい話だけど。


俺もいつもの営業モードに入って、礼儀正しく頭を下げてスマイルを浮かべる。




「もうほとんど準備できてるんで、いつでも始めてください」


「さすが慣れているだけあって助かるよー。
よーし、じゃあ早速打ち合わせだけれども、これ前送ったファックスの通り進めさせてもらって…」


「あ、すみません、今日は俺は出ません。
代わりに、こいつが出ることになってるんで」




と、暁兄の隣で小さくなっているヤツを指さした。
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