イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
ち、と俺は舌打ちしそうになるのを耐える。


たしかに日菜はそこいらの女より…可愛いからな。


しかもあの新しい制服が、なんなんだ…。


さっき暁兄の思惑にはまって見せつけられた時は、危うく見惚れてしまうところだった…。


膨らんだ袖が華奢な肩をさらに頼りなく見せて、コテ甘過ぎないスカートが揺れるたびに、なんだかオドオドした黒ねこみたいだ。

おまけに胸元の大きな白リボンが、首輪みたいで…


くそ。
さすがに、イヂめたくなっちまうっての…。




…いや。




もう、イジめてるよな…。




今まではイジめてなんかいない、って思っていたけれど。

今日、自分が取った行動は、明らかにイジメだ。

あいつがテレビの取材なんかこなせないってわかっていたのに、強制した。


これでムカついてくさくさした気持ちが、解消できると思った。


思ったのに。


俺の心は、ますますもやついた。



そう。

後悔していた。
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