イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「ならちゃんとやれよ。そのくらいできっだろ。なんのためにいつも俺のケーキ食ってんだよ。はは、紹介するならおまえの場合口で説明するよりただ食ってるところ見せた方が伝わるんじゃね?」




つい皮肉がとめられなかった。


くそ…。こんな自分がメチャクチャムカつく。



『もっと自分の心に素直になれよ』



暁兄の言葉が浮かぶ。

素直になれ?


…どういうことだよ。わけわかんね。



ただ、これだけはわかっている。

今、こんなひどいことしか言えない自分にムカついているってことは。






「そっか。そうだよね…」




日菜はうつむいたままぽつりと言った。


が、


突然、はっと顔を上げてなにか気づいたような顔をした。


訝しむ俺に、不思議と満面の笑顔を向けた。




「そっかそうだよね!晴友くんっ」


「は?」


「ありがとう!今の言葉でうまくできそうなヒント見つけたよ…!わたし、頑張ってみるね!」




言うなり、日菜はホールへと戻っていった。




…は…ぁ?

どういうわけだ?


てっきり落ち込ませたと思ったのに、逆に元気になってしまった。

なんだ、あいつ…。




てか、まだがんばるつもりかよ…。







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