イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
今さら、気付くなんて
「よし、じゃあ休憩終わり。
日菜ちゃん、準備は大丈夫?」
「大丈夫です…!」
キッチンから戻って来た日菜は、休憩前とはちがって、明るい表情に戻っていた。
足立さんもびっくりしたようだけど、
「よし、じゃあ、次こそ終わらそうか」
と撮影が再開されようとした、が。
「あの…ちょっと待ってもらっていいですか…?」
日菜が遮った。
「ご迷惑をおかけしておいて申し訳ないんですが、お願いしたいことがあって…」
おどおどしていた日菜からの突然の提案に、スタッフも暁兄も俺も驚いた。
けど足立さんは長年の経験で撮影がスムーズにいくためのなにかを感じ取ったのか、日菜の意見をうながした。
「覚えていた紹介のセリフ、なしにしてもらってもいいですか…?」