イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「ほんと?じゃあ…成功って思っていい?…わたし、ここやめなくていい…?」
「ああ。いんじゃね」
「よかったぁ…!」
飛び上がりそうにうれしそうなのに、その顔は真っ赤になったまま今にも泣きそうになっていた。
意外に芯の有るやつって思ったけど、どっちにしたって泣き虫なんだな。
くすり、と笑みを漏らしそうになってはっとなる。
「実はね、休憩の時に晴友くんに言われた言葉で閃いたの。
覚えたことよりも、自分の思っていることを話そう。それならいくらでも言葉が浮かぶから、って」
「……」
「だって、ずーっと大好きな晴友くんのケーキだもの。いくらだって、いろんなことを話せちゃう。むしろ、足りないくらいだったよ」
めずしく、たくさんしゃべる日菜。
赤くなりながらこぼす笑顔は、ほんとうにうれしくてしょうがないという様子だ。
思わず、日菜の頬をぐいっとつねった。