イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「ひ、ひたいよっ…!はるほろくん…っ」
「るせぇな。ちょっと認めてやったくらいで調子にのるな」
…なんでこんなにムカつくんだ。
工夫を凝らして作っているケーキを好きと言ってもらえたのに、全然うれしくない。
むしろ、くやしい。
どうして。
どうして、ケーキなんだ。
なんで、『俺』じゃないんだよ。
次の瞬間、力が抜けたようにつねった手が弱まった。
俺、今なんて思った…?
「晴友くん…どうしたの…?」
「…ほんとムカつくんだよ…おまえ」
「え…?」
「おまえなんか…」
おまえなんかーーー
その続きが浮かばなくて、口ごもった。
「おまえ…なんか」
「……キライ…?」
代わりに続けたのは日菜だった。
ぽつり、と悲しげな声で。