イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「…もし、ヘンな客に絡まれたりしたら、絶対に俺を呼べよ。わかったか?」
「え…?」
「わかったか、って訊いてんだよ」
「…あ、はい」
有無を言わせないような口調に、わたしは思わずうなづいた。
そして、ちょっと胸が弾んだ。
だってそれって、フォローしてくれるってことだよね…?
こんなこと言われたの初めてかも…!うれしいな!
撮影をどうにかこなせて、ちょっと認めてくれたのかな…?
「ありがとう…晴友くん」
思わずにっこり笑いかけた。
今度も目をそらされるかな…?
と思ったけれども、次の瞬間、わたしの胸はキュンと甘くうずいた。
晴友くんが、ほんの一瞬、小さく微笑んでくれたから。
こんなこと初めてだった。
…これは夢?
なんてぼんやりしていたら、晴友くんはさっさと踵を返してお仕事に戻っていく。