イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
対して、わたしの心は絶望のどん底だった。
そういえば…暁さんも言ってたよな…。
晴友くんに…そこまで好きな子がいたなんて…。
わたしが入りこむ余裕…ないかな…。
ツン、と鼻が痛む。
いけない…
泣いちゃだめだ、今はお仕事中なんだから…。
「…日菜ちゃん?」
美南ちゃんが、うつむくわたしを見て急におろおろしだした。
拓弥くんと顔を見合わせているけど、ふたりとも「どうしよう」って困ったような顔をしている。
もしかして、わたしの晴友くんへの気持ち、気づかれちゃったかな…恥ずかしい…!
けど…ふたりになら知られてもいいかな。
晴友くんとはうまくいってないけれど、こうしてなんとかお仕事がんばれているのは、ふたりが支えてくれるおかげでもあるし。
ふたりならわたしがここに来た本当の目的を知っても、あきれないでくれるよね…。
わたしは照れ笑いを浮かべた。
「そっか、晴友くんにはやっぱり好きな人がいたんだね。
…いいなぁその子、そんなに特別扱いされて…」
「ち、ちがうよ日菜ちゃん!そうじゃないよ!?」
どうしてたのか、美南ちゃんはあわてたようにしきりに首を振った。
拓弥くんも同じように付け足す。
「そうそう!晴友には好きな子がいるけれど、『あの子』って言うのは…えっと…その、つまり…!」
「おいおまえら!なにサボってんだよ」
そこへ、話題の晴友くんが割り込んできた。