イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「俺ひとり働かせておいておしゃべりとは、いいご身分だな、おまえら」
「サボってねぇよ!バカ晴友っ!
元はと言えばおまえが素直じゃねぇから…!」
「はぁ?」
「そうよっ!あんたはすこし日菜ちゃんとスキンシップしなさいよね!」
なんて言うと、美南ちゃんと拓弥くんは逃げるようにホールに戻っていった。
え、え?
そして、なんだか押し付けられるように残されたわたし。
晴友くんも、勢いに押し切られて立っていたけれど、はぁ、と溜息をついてわたしを横目で見た。
「あいつらと、なにしゃべってたんだよ」
気まずい…。
晴友くんの顔が見れないよ…。
「…な、なんでもないよっ」
こうなれば、わたしもふたりにならって逃げよう!
…としたら、
晴友くんの手が壁について、長い腕に行く手をふさがれた。
「…もしかして、あいつらに変なこと吹き込まれてないよな?」
「へ、ヘンなこと??」
「俺のこと、とか」
「そ…そんなことないよ?」
「ほんとか?」
晴友くんは、ちょっと意地になっているように引き下がらない。