イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


「俺が持って行く」


「え、いいよ…!」


「よくないだろ」


「だって…!」




わたしがテレビでヘンにでしゃばったせいで、ああいう普段は来ないような人たちが来てしまったんだ。

だとしたら、わたしが責任もって接客しなきゃダメだよね…。


それに、この先もああいう感じのお客さまは来るだろうし…成長しなくちゃ。


じゃなきゃ、晴友くんに認めてもらえないよ…。




「おねがい、わたしにやらせて…?」




真っ直ぐ見つめると、晴友くんは根負けしたみたいに「わかった」と引き下がった。




「おまたせしました」




コーヒーを持っていくと、まるでお酒が運ばれて来たみたいに、二人は手をたたいて喜んだ。




「早いねー!」


「さっすがー!」




何がさすがなのかわからないけど…。




「…ご注文はお決まりですか?」


「んとねーじゃあ俺はチョコレートケーキで」




うう…甘いもの嫌いってさっき言ってたのに…。

こういう人に晴友くんのケーキ、食べてもらいたくないな…。
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