イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「ご、ごめん、なさい…わたしそれは…」
「え?なに?イヤだって言うの?じゃあこの不始末どーしてくれんだよー?ねー日菜ちゃん、どーするつもりなんだよー」
「そ、それは…」
「ねーどうしてくれんのー!?」
「え…えっと…」
「いい加減に、してもらえますか」
不意に横から声が聞こえた。
かと思うと、ぐいと後ろに押しやられた。
目の前には、白シャツの背中。
いつも見慣れている、この広いきれいな背中は…
晴友くん…。
「失礼をしたのは謝ります。申し訳ありませんでした」
わたしはその後姿を呆然と見つめた。
いつも自信満々でイジワルな晴友くんが…深々と頭を下げているから…。
わたしなんかのミスのために…。
「クリーニング代もお支払いいたします。もちろん全額で。今日のお代もいただきません。
ですから、この店員をこれ以上責めるのはやめていただけますか?」
お兄さんは許すどころか、もっと荒い口調で言葉をあびせる。