イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「はぁー?結局金で解決かよー?誠意、なくね?それで俺の気が済むと思うわけ」
「ほんとうに申し訳ありませんでした。この者はまだ新人でして…指導係の俺の不始末でもありました。俺からもお詫びさせていただきます」
「はは!イケメンがかっこつけやがって!頭下げれば何でも許されると思ったら大間違いだぞ」
と怒鳴るとお兄さん(…ああもうこんな人、サイテー男だよ…!)は、晴友くんの頭を乱暴に押し下げた。
「許してほしいんならさぁ、土下座してみせろよ?」
そしてきれいにセットされた髪型をぐしゃぐしゃにするように、グイグイと押し付ける…。
晴友くんは…ただ黙って甘んじている。
後ろで見ているわたしの方が、もうつらくて胸が張り裂けそう…!
「ほらほら、『申し訳ありませんでした、この通りです』って床に顔押し付けて謝れよ!?
そのくらいしてくねぇとさーぁ俺の気が済ま」
「済ませろ、ってんだろクソ野郎が」
不意に聞こえた言葉は低くて小さかったけど。
確実に耳にとどく鋭さがあった。
一瞬、店の中がしん、となった。