イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
こういうの「どすを効かせた」って言うのかな…。こんな低い声どこから出してるの…怖いよぉ…


男も晴友くんのその言葉を聞いた瞬間、毒気を抜かれたように勢いを失ってしまった。


晴友くんって…中学校まではかなり怖いことをしていたって聞いたことあったな…。

具体的どういうことをしていたかは知らなかったけど…今のでなんとなくわかったような…。



目に見えて優勢な晴友くんに、周りから歓声と拍手が鳴った。

周りのお客さまは、完全に晴友くんの味方だった。



晴友くんが手を離して自由になったサイテ―男たちは、それでもまだ何かわめこうとしたけれど、あまりに大きな拍手にひるんで、足早に店から出て行った。

「覚えてろよ!」というお決まりの捨て台詞にお客さまも失笑し、張り詰めていた店内の雰囲気は少しずつほぐれていく。




「お騒がせして申し訳ありませんでした、お客さま」




晴友くんは、今度は誠意を込めて深々と頭を下げた。

そんな姿も頼りになってかっこよかった。



すごいな晴友くんは…。



認めてもらおうと思ったのに、わたし、逆に助けられてしまった…。








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