イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「しばらくこうして休んでろ」
「でもお店」
「いいから!」
叱るような強い口調に、わたしは口を閉ざす。
けれども、そこにはさっきのサイテー男たちを追い払ったような冷静さはなかった。
どこか切羽詰ったようで…苦しそうで…。
「どうして…言うことをきかなかったんだ」
「え…」
「『絡まれたら絶対に俺を呼べ』って言っただろ。ヘンな意地張らないで、とっとと俺に任せてればよかったんだよ」
晴友くん…。
じん、と胸がうずく。
甘く切なく…。
らしくないよ…晴友くん…。
どうしてそんなにやさしいの…。
「だって…わたしが取材ででしゃばったせいで来たお客さまだったから…わたしが責任もって対応しなきゃ、って思って…。
忙しそうにしているみんなに迷惑はかけたくなかったの…」
「…バカか…半人前のくせに、生意気言ってんじゃねぇよ」
晴友くんの眉間に、さらに深くしわが寄った。
…そう、だよね…。
ちゃんと対応できる自信はなかったのに…。
結局こんな風に迷惑かけることになっちゃったら、意味がないよね…。
でも…
でもね…。