イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「早く、一人前になりたかったんだもん…」
「……」
「…晴友くんに、認められたかったんだもん…!」
不意に。
肩を強く引き寄せられて、身動きがとれなくなった。
え…?
視界の先には真っ白いシャツ。
頭を押さえつけられて、頬から温かさが伝わってくる。
トクトクトク
と早いリズムさえ感じた。
「くそ…。ほんとどうしようもないな、おまえは…」
これ以上、好きにさせるな…。
耳をかすめる吐息のようなその声は、
お店のざわめきでよく聞こえなかったけれど、
そう、つぶやかれているような気がして…
わたしは思わず息を止める。もう一度聞こえないかと、願うように…。