イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


「わかった。きっと『社会勉強の一環だ』ってご両親に命じられたのね!
私みたいに、日菜さんもいずれはお店の経営を継ぐんでしょ?お兄様がお父様の後を継ぐパティシエなら、日菜さんは経営を担っているお母様の後を継ぐって決められているんでしょうから」


「なるほど。それなら納得ね。実はあたしもお父様に『勉強もかねて、今度の選挙戦のサポートに事務所の手伝いに来なさい』って言われているの。すっごくゆううつ…。おたがい、お家がたいそうだと大変よね。
じゃあ、ケーキはまた今度にしましょう?」


「ええ、ありがとう…」




笑顔をつくったその時、スマホが鳴った。



祥子さんからだ。

なんの用事だろう?



届いたメールを見てみると、




『火傷だいじょうぶ?
指のことも考えて、今日はお店には来なくていいから、代わりに別のお仕事を頼まれてくれる?詳細はもう少ししたら連絡が入ると思うから』




とあった。



そんな…。
申し訳ないなぁ…自分のドジで負った怪我なのに…。


けど『別のお仕事』ってあるな。なんだろう?
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