イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
『どうしてもとせがんだおまえに父さんや母さんが折れたから、俺もしぶしぶ認めたけれど…基本、お兄ちゃんはまだバイトは反対なんだからな。
大事な可愛い妹に、どこぞの小さな店でウェイトレスなんて…どんなキケンなことがあるかわからないのに…。
日菜。そもそもおまえは、自分がどれほど人目を引く子かという自覚が足りない』
わぁあ…。
始まっちゃった、お兄ちゃんのお説教が…。
10歳離れているせいか、わたしのことを目に入れても痛くないってくらいに可愛がってくれるお兄ちゃん。
いつもそばにいてくれて、美味しいケーキを作ってくれる、わたしのヒーローだ。
でも最近、過保護に感じることが多くなって苦しい…。
この前のテレビ取材とか…お兄ちゃんはああいう番組は見ないけど、もし万が一出たことが知られたらなんて言うか…考えただけでゆううつだ…。
晴友くんたちも、ごーごーと一方的に話すお兄ちゃんに困っているわたしを見て、怪訝な表情を浮かべている。
いけない…3人を待たせちゃう…。
「ご、ごめんおにいちゃん、もうそろそろバイトの時間だから切るね…!」
『あ、待て日菜っ、まだ話は終わってないぞ!
…今度、その店に行ってやるからな』
「え?」
『ひどい条件で働かされていないか、俺がしっかり確かめてやる』
「そ、それはいいよ!お兄ちゃん!」