イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
引っ張られながら足早に歩くわたしは、目の前の光景に目を疑った。



わたし、晴友くんと手つないでる…。



夢、じゃないよね…?

わたし今、好きな人と手繋ぎしてる…!

うれしいよぉ…。



と言っても、晴友くんの握る力はとても弱かった。かろうじて引っ掛けているくらい…。

これじゃあ、ちょっと人にぶつかったらほどけちゃいそうだった。


そんなの嫌だな…。もっともっと、この時間が続いてほしいよ…。


ぎゅ


と、わたしは強く晴友くんの手を握った。


すると…



ぎゅう…



って、晴友くんがさらに強く握り返してくれた…。



びっくりして、うれしくて…今度は胸がぎゅっと締めつけられた。




晴友くんの手は、夏だというのに冷たかった。

けど、身体が火照るわたしには、むしろ心地よかった…。








< 170 / 257 >

この作品をシェア

pagetop