イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


こいつの手、すげぇ小せぇ…。



すがるように握ってきた手を思わず握り返して、真っ先にそう思った。


…そりゃそうか、あんなに小さな身体してればな。

さっきみたいに人混みにまぎれてしまったら、もう二度と見つけられねぇかもな…。

そう思うと、苦しくなる。

ちゃんと目の届くところにおきたくて、ぐいっと引っ張ると、そんなに力を入れなかったのに、勢い余ったのか日菜が腕にぶつかってきた。




「あ…ごめんなさい…」




真っ赤になってうつむくと、余計にちんまりとなって頼りなく見える。

そんな姿も、清楚で可愛くて…

胸がぞわぞわしてくる。




高嶺の花




ってこんな感じなのか…。


金持ち学校に通う、温室育ちで、

繊細できれいな、高貴な花。


俺みたいなやつが乱暴にしたら、すぐ傷つけてしまいそうな。


くそ…。

お嬢さまのリードなんて、わからねぇんだけど…




「…とりあえず、なに食う」


「え、えっと…なんでもいいよ?」


「…なんでもいいが一番困るんだよ。
…お前の…好きなものでいいよ」


「え…っと」




困ってキョロキョロする日菜。
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