イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
見渡す限り、いろんな店がある。
俺が真っ先に目がついたのは、丼ものメインのチェーン店。
すっげ、あの豚丼美味そ。今なら大盛行けそうだ…。
日菜は当然こういう店入ったことないよなぁ…。
お嬢さまに豚丼なんて食わせるわけには…って、どんな風に食うか、ちょっと見てみたい気もするけど。
いやいやだめだ。
なにかカフェとかスイーツショップとか…。
と見回した俺の目に、一件の店が目に入った。
あの店は…
瞬間、テンションが上がった。
俺の憧れの店だったからだ。
そうか、確か本店はここにあったな。
それは、真っ白な壁に黒と赤のアクセントが斬新にペイントされた、スタイリッシュでどこか品のある店舗だった。
『ラ・マシェリ』
洋菓子ファンやその業界の人間なら知らぬ者はいない、ミシュランにも毎年載る超有名洋菓子店だ。
そして、俺がパティシエを目指すきっかけになった店でもある。