イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で

見渡す限り、いろんな店がある。


俺が真っ先に目がついたのは、丼ものメインのチェーン店。

すっげ、あの豚丼美味そ。今なら大盛行けそうだ…。


日菜は当然こういう店入ったことないよなぁ…。

お嬢さまに豚丼なんて食わせるわけには…って、どんな風に食うか、ちょっと見てみたい気もするけど。

いやいやだめだ。

なにかカフェとかスイーツショップとか…。


と見回した俺の目に、一件の店が目に入った。




あの店は…




瞬間、テンションが上がった。


俺の憧れの店だったからだ。

そうか、確か本店はここにあったな。




それは、真っ白な壁に黒と赤のアクセントが斬新にペイントされた、スタイリッシュでどこか品のある店舗だった。



『ラ・マシェリ』



洋菓子ファンやその業界の人間なら知らぬ者はいない、ミシュランにも毎年載る超有名洋菓子店だ。


そして、俺がパティシエを目指すきっかけになった店でもある。
< 173 / 257 >

この作品をシェア

pagetop