イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で

ケーキと言えば、女向けの可愛いのや派手なものばかりで味はただひたすら甘いだけだと思っていた。

けれど、この店のはシンプルでスタイリッシュな見た目がかっこよくて、それなのに味は多彩で食べるごとに新たな発見があって。

小さなケーキの中に説明しがたい魅力をたくさん詰め込むことができる職人技に、めちゃくちゃカッコいい、って一気に惹かれてしまったんだ。



初代がメインシェフだった頃はまだ店頭販売だけだったけれど、息子である二代目がカフェ業態へも経営を拡大していて、プレートデザートやドリンクも提供していた。




「日菜、あそこ行かね?」



お嬢さまにも十分相応しい店だろう。

それに、俺の運命を変えた店の味を日菜にも知ってほしかった。





けど、




「あ…あそこ…?」




返ってきた反応は微妙だった。

明らかに行くのをためらう日菜。
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