イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
なんて見入っていると、俺の視線に気づいたのか、日菜は頬を赤らめて手を止めた。
「…なんかわたし、ついついがっついちゃって、恥ずかしい」
「今に始まったことじゃねぇだろ。
そのせいで『ファイターちゃん』なんてあだ名付けられたんだから」
しまった…。
つい、いつものキツい言葉が…。
「ま、で、でもいんじゃね?好きなもん食ってる時はそうなるもんだ。
おまえ、ほんと甘いもの好きだよな」
「うん、大好き…!甘いものだったらいくらでも入っちゃう。
普通のご飯は全然食べられないのに『日菜の胃袋は甘いものしか受け付けないワガママちゃんなんだな』ってお兄ちゃんにもからかわれるの」
「へぇ…。おまえ、兄貴いたんだ」
「え、あ、うん。10歳が離れているから、お父さんみたいに世話を焼いてくれるんだけれど…」
ふぅん。
お嬢さまの10歳年上の兄貴か。
さっき、電話してきた相手か?
…なんとなく、過保護そうなイメージだな。