イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
思わず見やると、強張った表情の日菜が…。

やばい…絶対に勘ちがいされてる…!




「ちがうんだ日菜、俺たちは」


「…やっぱり…そうなんだ」




やっぱり?


やっぱりってどういうことだよ、日菜…?


くしゃり、と日菜の表情が崩れた。

笑ったはずなのに、泣いているみたいな笑顔だった。




「…よかったね。彼女さんと再会できて。
すごいな…芸能人だなんて…」


「だからちがう!こいつはただお」


「わたし、ひとりで帰れるから、ここでお別れするね…!」




踵を返すと、日菜はあっという間に野次馬にまぎれてしまった。




「待て…って、日菜!!
おい、はなせよカンナっ!!」


「いいじゃない!ねーまだお家の手伝いしてるの?みんな元気?祥子ちゃんは?拓弥も美南も暁兄も元気??」




意地でも俺を離そうとしないカンナの目は、すがるように真剣な眼差しを向けている。

突き放すことができず、日菜の行方に気をとられながらも、早口で答える。
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