イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


はっとなった。

つい声を荒げてしまった。

お兄ちゃんに大声で口答えしたのなんて初めて…。


お兄ちゃんはびっくりしている。

わたしも…。




「…もういい。今日はお兄ちゃんに謝る気になるまで居間で過ごしていなさい」




と、お兄ちゃんは出て行き、居間にはわたし一人が残された。



点けっぱなしのテレビには、ちょうどクイズ番組が映っていて…カンナちゃんが出ていた。


お笑い芸人さんに笑いを取られてニコニコしている姿は、素敵な芸能人として輝いて見える。


愛本カンナちゃん。


『物怖じしない性格で機転がきいて明るく、大人顔負けの容姿に反して屈託のないギャップが受ける。私生活でも外交的な面を見せ、モデルやアーティストとも親交があり…』



とあるのはネットの評判…。


すごいな…カンナちゃんの話題ばかり…。


綺麗な笑顔と大人っぽい身体つき…。

わたしとは何もかもが正反対…。

わたしはお兄ちゃんにすら認めてもらえないのに…カンナさんは厳しい世界で結果を残している…。



この人が晴友くんが好きな子…。



ポタポタ


気づけば涙が出ていた。


がんばってきたけれど、もう堪えられない。

わたしのちっぽけな心は、もういっぱいいっぱいだった。




今日はきっと、人生で一番最低最悪の日だ…。








< 195 / 257 >

この作品をシェア

pagetop