イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
はっとなった。
つい声を荒げてしまった。
お兄ちゃんに大声で口答えしたのなんて初めて…。
お兄ちゃんはびっくりしている。
わたしも…。
「…もういい。今日はお兄ちゃんに謝る気になるまで居間で過ごしていなさい」
と、お兄ちゃんは出て行き、居間にはわたし一人が残された。
点けっぱなしのテレビには、ちょうどクイズ番組が映っていて…カンナちゃんが出ていた。
お笑い芸人さんに笑いを取られてニコニコしている姿は、素敵な芸能人として輝いて見える。
愛本カンナちゃん。
『物怖じしない性格で機転がきいて明るく、大人顔負けの容姿に反して屈託のないギャップが受ける。私生活でも外交的な面を見せ、モデルやアーティストとも親交があり…』
とあるのはネットの評判…。
すごいな…カンナちゃんの話題ばかり…。
綺麗な笑顔と大人っぽい身体つき…。
わたしとは何もかもが正反対…。
わたしはお兄ちゃんにすら認めてもらえないのに…カンナさんは厳しい世界で結果を残している…。
この人が晴友くんが好きな子…。
ポタポタ
気づけば涙が出ていた。
がんばってきたけれど、もう堪えられない。
わたしのちっぽけな心は、もういっぱいいっぱいだった。
今日はきっと、人生で一番最低最悪の日だ…。