イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「美南、食材きれたからちょっと買い物行って…あ」
すると、晴友くんがキッチンからやってきた。
ずきり、と胸が痛む。
でも…昨日お兄ちゃんがひどいことをしたのは謝らなきゃ。
晴友くんはわたしを見るなり、少し戸惑った表情を見せた。
こころなしか、顔色が悪い。
目の下には…クマ?
「昨日は…大丈夫だったか?」
「そ、それはわたしのセリフだよ…!
昨日は本当にごめんね。お兄ちゃんがひどいことをして…」
「いや。
でも驚いた。まさかおまえの家があの『ラ・マシェリ』の経営者だったなんて」
「ごめんなさい…。内緒にするつもりはなかったんだけれど…」
まさか晴友くんがお兄ちゃんに憧れていたなんて、思わなかったから…。
晴友くんの方がお兄ちゃんより、ずっとたくましくてかっこいいんだけどな…。
「大丈夫なのか?こんなところでアルバイトなんかして」
「うん…。それはちゃんとお父さんやお母さんに認めてもらっているからいいの。
ただ、お兄ちゃんだけは…。
お兄ちゃんはやさしくて、昔からいつもわたしのことを大切にしてくれるのはいいんだけれど、最近、それがエスカレートしてきて…」
「まぁ…そうだろうな…」