イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「おまえはもう俺たち一般人とはちがうんだ。自分の将来のためにもヘンな気は起こすな」
「な…」
そっけない口調だったけれど、そこに晴友くんのやさしさが表れているのが、わたしにはわかる。
晴友くんだってきっとカンナさんに再会できてうれしいはず。
でも、わざと冷たい態度をとっているんだ。
芸能人のカンナさんのためへの、愛のムチというやつなのかな…。
「なによ…みんなして意地悪言って…!わたしが有名人になったからって、嫉妬でもしてるわけ…!?」
「してねーよ、バカ」
晴友くんはふぅと溜息をつくと、
「あ、てか俺、買い物行くつもりだったの忘れてた」
「えー!もうちょっと話しよーよ!」
「…開店時間が迫ってんだよ」
「ちょ…待ってよ…!
せっかく、晴友に会いに来たのに…!!」
晴友くんはお店を出ようとした。
けど。
不意に立ち止まると、振り返らずにカンナさんに言った。