イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で

すると、ぽん、と晴友くんがわたしの頭を撫でた。

じん、となった。


こんなにやさしく頭を撫でてくれたのは初めてだったから…。

きゅっと甘く痛んだ胸は、どこかほろ苦さもあった。



わたしはじっと晴友くんを見上げた。



どうして。

どうしてカンナさんのことでそんなやさしい顔をするの…?




首が痛い。


背が高い、晴友くん。


きっと、わたしなんかが背伸びしたくらいじゃ、カンナさんのようにはキスできない…。



たった数十センチの距離。



あともう少し、と思っていたけれど、

それは、思った以上に遠くて。




きっと、もう、絶対に縮まることはない…。








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