イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「ほんとに…?」
祥子さんは小さな声で念を押した。
「ほんとに変わらないの?」
「はい」
わたしは泣きそうになりながらも、笑顔を作った。
「そう…。でも、お家の人がそう言ったんなら仕方ないわね…」
「あの…このことはフェスタが終わるまでみんなに黙っていただけませんか…?わたしからちゃんと言いますから…」
「わかったわ」
わたしの意志が変わらないのを察すると、祥子さんも割り切るように笑顔を向けてくれた。
「5周年記念も兼ねているし、今年のフェスタは大いに楽しみましょうね」
※
そして迎えた本日、5周年記念イベント。
今年はなんと、あの大イベント『ベイエリアサマーフェスタ』と重なっているとあって、みんな気合が入っている。
ベイエリアサマーフェスタ。
文字通り、ベイエリア全体で行われる夏祭りのようなイベントで、ベイエリアの各店先でセールを行ったり限定商品を販売したりする。
数年前から始まったこのイベントは、毎年来場者数を更新する人気ぶりで、今年からは浜辺でも特設ステージを組んでイベントを行うほか、各店の出店も出すことになっていた。
リヴァ―ジでもちょうど5周年記念が重なったこともあり、特別メニューをメインとした出店を出すことにしていた。